統合失調症に用いられる薬のその効果とは非常に強力なものですが、そのため副作用も強く発生してしまうケースが多く見られます。

できるだけ発生する副作用を軽く、また少なくすることを目的とした薬の開発は進められていますが、まだまだ副作用に悩まされている人は多いようですね。

ではそもそも副作用は、なぜあらわれてしまうのでしょうか?

 

副作用とは薬に対して本来求めている効果以外の反応のことを言います。

薬は目的とする病気の症状だけに作用するものではなく、他の部分にも働きかけてしまうため、どのような薬でも少なからず副作用はでてしまいます。

また、その副作用のあらわれ方や、でやすさは人によって様々で、薬剤の種類によっても異なってきます。

ですがこのように副作用がまったくでない薬がないとは言え、あまりに副作用のあらわれ方が大きい場合は、日常生活に支障をきたすこともあるので対処が必要になってきます。

そのような場合、不快な症状を我慢せずに主治医、または薬剤師の方に相談することをおすすめします。

相談することで、薬の量や種類を変えてもらったり、また副作用を抑えるための薬を処方してもらえることがあります。

そのような相談は決して恥ずかしいものではありませんので、積極的に相談しに行きましょう。

 

また副作用があらわれるからと、自己判断で薬をやめたら大変危険ですので、そのようことはやめてください。

この記事では統合失調症の薬をなぜやめたら危険なのか、また副作用があらわれた時はどんな対処法があるのかを見ていきたいと思います。

 

統合失調症で使われる抗精神病薬の副作用について

薬

先述しましたが、統合失調症の薬は非常に強力なため、昔から多くの人が副作用に悩まされています。

精神を安定させるには、どうしても多くの成分が必要となってしまうため強力な薬になってしまうのです。

また薬の効き目も人によって様々なように、副作用の大きさやパターンも人によって違ってきます。

便秘、発疹といったような通常の薬でもあらわれることのある副作用が発生したり、また、別の疾患と似た症状の副作用があらわれることもあります。

特に統合失調症で使用される抗精神病薬であらわれる副作用は、他の疾患で使用される薬の副作用に比べ、発生する回数が多いです。

ではこの抗精神病薬の主な副作用について見ていきます。

 

錐体外路症状

抗精神病薬の代表的な副作用としてあげられるのが、この錐体外路症状です。

体や内臓などに動きの信号を伝える運動神経には、脳から筋肉へと指令を伝える「錐体路」という経路と、運動がスムーズにおこなえるよう無意識に筋肉の緊張を調整してくれる「錐体外路」という経路が存在します。

抗精神薬には、神経伝達物質である「ドーパミン」の働きを抑える効果がありますが、抑え過ぎてしまうと筋肉の緊張を調整する錐体外路が障害され、運動がスムーズにおこなえなくなり「錐体外路症状」という運動機能にかかわる副作用があらわれてしまいます。

副作用としては、次のような症状があらわれます。

 

パーキンソン症状(パーキソンニズム)

・手足のふるえ

・筋肉の緊張(こわばり)

・動きが遅くなる、またほとんど動けない状態になる(無動と寡動)

・歩行障害

 

急性ジストニア

急性ジスとニアとは服薬を開始してから数時間~数日で発症するという比較的急性に生じるジスとニアです。

症状としては、筋肉が固まっておこる痙攣(けいれん)ですが、特に眼球上転や舌の痙攣が多いようです。

この副作用がでた時は、本人も周りの人も驚いてパニックになってしまうことも少なくありません。

眼球上転が生じた場合は

 

・目が見えにくい

・目が動かせない

・眼球が上を向く(白目になる)

 

といった症状があらわれ、

舌に痙攣が生じた場合は

 

・舌がでたままになる

・ろれつがまわらなくなる

 

このような症状が見られます。

この副作用はどんな人にでもあらわれる可能性があるのですが、特に若い方や男性にあらわれやすい傾向があります。

また急性ジスとニアは適切な処置で、比較的改善されやすいものでもあります。

 

アカシジア(静座不能症)

アカシジアの症状があらわれると、ムズムズするような違和感を感じ、そわそわしてじっとしていられない状態になってしまいます。

また焦ってイライラしたり、不安でしょうがなくなってしまうといった「焦燥感」が出てくることもあります。

具体的な症状としては

 

・絶えず歩き回ってしまう

・落ち着かずにずっと足を揺らす

・舌がでたままになる

・座ったまま動かない(立っていることができない)

 

このような症状から、別名で「静座不能症」また「着座不能症」とも呼ばれます。

またアカシジアは、患者さんが元々抱いていることのある不安やあせりと区別することが難しく、判断するには注意が必要です。

 

遅発性ジスキネジア

ジスキネジアとは「不随意運動」のことで、自分の意思とは関係なく体が動いてしまう異常状態の事を言います。

これは抗精神病薬を長期間にわたり飲んでいるとあらわれることのある症状です。

主な症状としては

 

・手足、首、胴体が勝手によじれるように動く

・舌が左右に動きだす

・何も食べてないのに、口をもぐもぐさせる

 

このような状態になります。

こうした錐体外路症状があらわれた場合、パーキンソン病に用いられる薬を併用することで症状の改善を期待できます。

 

自律神経症状

抗精神病薬の副作用は、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスに影響をあたえることもあります。

自律神経は内臓の働きを調整する役割がありますが、そのバランスが崩れると次のような症状が起こります。

 

・便秘

・口の渇き

・よだれが出る

・立ちくらみ

・動悸

・頻脈

・尿が出にくくなる排尿障害

・発汗過多

・性機能障害

 

この副作用の中で特に気をつける必要があるのは、口の渇きです。

口が渇き続けることによって過剰な水分摂取をしてしまうと水中毒になる危険性があり、痙攣や意識障害を起こしてしまうことがあります。

この副作用の対策としては、舌を動かしたり、ガムやダシ昆布を口にすることで唾液を出してあげるのがよいでしょう。

また、こうした自律神経症状は通常あれば、時間がたつにつれて徐々に改善していきます。

どうしても辛い場合は、医師に相談して治療薬を使用したり、生活習慣で工夫できることを教えてもらいましょう。

 

抗ヒスタミン症状

統合失調症でよくみられる「幻覚」「幻想」といった症状をやわらげる効果のある抗精神病薬には強力な鎮静作用もあります。

 

・眠気

・だるい

・集中力の低下

 

このような症状があらわれやすく、一日中寝てしまったり、食べる事や尿便の排泄もできない状態になってしまうことがあります。

統合失調症の症状が、ある程度回復してきたにも関わらず、こうした症状がおさまらない、また生活するにあたってさまたげになっているのであれば、医師と相談して薬を変えたり、寝る前に飲むようにするといった工夫が必要になります。

 

内分泌と代謝に関する副作用

抗精神病薬はプロラクチンというホルモンを増加させることもあります。

これは抗精神病薬のドーパミン遮断作用によるもので、女性の場合は

 

・月経不順(一時的に止まる)

・乳房が張る

・乳汁がでる

 

などの症状があらわれ、男性の場合は

 

・女性化乳房

・性欲の低下

・性機能障害

 

このような症状がみられることがあります。

また糖や脂質の代謝がうまくおこなわれなくなることもあり、糖尿病や脂質異常症をおこす場合もあります。

 

悪性症候群

悪性症候群が発生することは稀ですが非常に危険な副作用で、発生した場合はできるだけ早く適切な処置を受ける必要があります。

抗精神病薬での治療中に発生することがあり、副作用の症状としては

 

・突然の高熱

・錐体外路症状

・自律神経症状

・意識障害

 

こういったものがあげられます。

発生原因となるものとしては

 

・抗精神病薬の投与開始時

・薬剤の増量時

・抗パーキンソン病薬の中止や減量

・抗不安薬の中止や減量

 

このような状況の時に、体の疲労や脱水、精神症状が悪くなるといったことが重なることによって発症します。

この悪性症候群は先ほどもお伝えしたように早期発見が非常に重要ですので、疑われるような症状が出た場合はできるだけ早く主治医に相談してください。

 

アレルギー症状

人によっては薬が体質に合わずアレルギー症状があらわれることがあります。

発疹やかゆみといった症状が服用後すぐ、または2週間~1ヶ月たってからでてくることがあります。

そのような症状がでた時は、一度医師に報告しておきましょう。

 

循環器に関する副作用

ノルアドレナリンの働きを抑える作用により、動機、不整脈、血圧低下などがおこることもあります。

 

薬に対してしっかり理解する

医師と相談する写真

統合失調症の薬による副作用の中には、医師に相談することで薬の量や種類を見直し、防げることもあるということを知っておきましょう。

なるべく副作用で悩み苦しむことをさけるには、薬を使用する本人が薬に対する知識をある程度知っておくことが必要です。

 

ご自身が飲んでいる薬が何なのか。

また適切な量とはどのくらいなのか。

 

最低限でよいので、自分の使用している薬については知っておきましょう。

ネットでもいろいろと調べることはできますが、やはり主治医にわかりやすく説明してもらうのが良いと思いますよ。

また、副作用のほとんどは飲みはじめの頃が一番強く、時間と共に体が慣れていくような感じで徐々に弱まっていきます。

 

関連記事

統合失調症の薬|エビリファイの効果と副作用について

 

副作用をできるだけ和らげるには

 

統合失調症で使用される薬で副作用に悩まされる人は非常に多くいます。

ですが現在ではまだ副作用がまったく発生しないと確証できる薬はないため、副作用を抑える薬を使用したり、薬の量を少なくしたりと様々な工夫がほどこされます。

また、薬は人によって効果や副作用は様々なものですので、様子をながら調整する必要もあります。

従ってなるべく副作用を和らげるためには、医師と相談しながら薬の処方や投与量を調整して医師に伝えられた用法・用量を守りながら対処していくことが大切です。

 

妊娠中の方の副作用について

 

統合失調症で使用する薬の副作用を見ていきましたが、これを見た妊娠中の人は薬を飲むのことに不安を感じると思います。

確かに妊婦さんでも薬の副作用はありますし、赤ちゃんへの影響も気になるところですよね。

ですが統合失調症の薬は妊娠中でも飲むことができますし、実際に薬を飲みながら妊娠生活を送って無事出産することは全然珍しくないのです。

ですが飲んでも大丈夫といっても絶対大丈夫なわけではありません。

これは統合失調症の薬に限ったことではなく、どんな薬でも妊娠中に使用する際は絶対にお医者さんとの相談を怠らないでください。

そして飲み続ける必要がある薬の場合は、自己判断で中止しないでください。

妊娠中、薬を使用するときに一番大切なのが自己判断で使用・中止しないということです。

医師に症状を報告して相談することが何より大切です。

 

まとめ

 

以上が統合失調症の薬であらわれる副作用になります。

いかがでしたでしょうか?

この記事でお伝えした副作用はすべての人にあらわれるわけではありせんし、1人にすべての副作用がでるわけでもありません。

また、薬によっては体に合わないことで悪影響を与えてしまうこともありますが、自己判断で薬をやめてはいけません。

副作用がひどい場合、また体に合ってないのかなと思った時はとりあえず医師に相談しましょう。

何度も言いますが、統合失調症の薬を使用するのに一番大切なのは、医師への報告と相談です。

これが統合失調症の発症、再発を防ぐ一番のポイントです。