胆石症(胆石胆嚢炎など)とは、よく耳にする病気ですが、実際のところはよく知らない方も多いと思われます。

この胆石症は、やや女性に多く見られ、また肥満体型の方中年にさしかかる頃から発症率が高くなります。

そして60~70歳あたりの患者数が最も多いとされ、この年齢で患者数が多い要因としては、消化機能の低下で起こる胆汁の流れが弱くなる(うっ滞)による胆石の成長。

そして胆石症とよばれる胆石が原因の腹痛をはじめとした、さまざまな症状が発生してくる年代のためです。

胆石は若者から老人まで可能性がありますが、胆石症が出る可能性は年齢とともに増えていきますし高齢になるにつれ重症化する可能性の高い病気です。

 

 

胆石症についての基礎知識

 

 

胆石症という疾患は胆道系という臓器(管)が深く関係しています。

胆道系とは、胆汁が流れる一連の管の系統のことで、この胆汁とは脂肪の消化に必要とする肝臓で作られ消化液のことを言います。

胆汁は、肝臓内を血管のように広がりながら走っている肝内胆管にのって流れ、総胆管に入ります。

総胆管は、体の中心を走る上下10センチほどの管で下の出口は十二指腸につながっており、そこから胆汁は食べ物の消化時に出るようになっています。

また、その出口は乳頭部とよばれ筋肉で開け閉めし胆汁排出をコントロールする役目があります。

そして右肋骨の下あたりに胆嚢という臓器があるのですが胆嚢は必要な時のために胆汁をためておく役目があり、そのため食前は大きく、食後は小さくなります。

胆嚢と総胆管は細い管でつながっておりそこに胆石がつまるケースが多いです。

 

 

胆石症の症状

 

 

初期症状では、食事で脂っこい物を摂取した後、右肋骨の後ろから背中にかけてチクチク痛んだり(疝痛)違和感を感じたりなど症状は非常に分かりづらいです。

そこから胆石症を疑うことは難しいので、早期発見がしにくい疾患でもあります。

 

なお、胆石は腹部レントゲン撮影や腹部エコー検査など無関係な検査で発見されることもしばしばあります。

胆石症は通常、みぞおちとよばれる右肋骨の下あたり右上腹部の強い痛み(季肋部痛)を感じます。

発症した時の痛みはひどく、市販の痛み止めでは効かないことが多いです。

これらは胆石が、胆道系(胆嚢や総胆管など)の中で動いたときに壁を傷つけたり刺激になったりした場合の痛みで3~4時間でスッパリおさまる場合もあれば続くこともあります。

 

病院に行く事をためらうなど、病気の発見が遅れるケースが多く見られ最悪な場合、胆石が原因で胆道系をつまらせて胆汁の流れが悪くなったり止まったりするしてしまいます。

胆道内や胆嚢で細菌に感染して炎症をおこしたり、胆汁が流れないために他臓器にまで影響を与えたりします。

そうなると重症ですのですので、たびたびそのような痛みが出たり長引いたりする場合はなるべく早めに医療機関で受診しましょう。

 

また、他の病気でもそうなのですが深夜から朝にかけて痛みだす(症状がでる)場合が多いです。

そのような場合、救急車を呼ぶことをお勧めします。

 

 

胆石症の種類とは

 

 

胆石は成分によって分類されます。

主に「コレステロール結石」と「色素結石(ビリルビン結石、黒色結石)」に分けられます。

発症の割合は、コレステロール結石が7割、色素結石が3割で胆石の種類によってその原因も異なります。

レントゲン写真で白く写るのはカルシウムを含むピリルビン結石になります。

 

コレステロール結石

 

体内に摂取されたコレステロールは、十二指腸から出る胆汁酸により分解されます。

次に小腸で体内に吸収され血液の流れにのり肝臓にいたり栄養として消費され、余ったコレステロール成分が胆汁のなかに排出され胆汁の中でコレステロールは胆汁酸の作用で分解されています。

ですが、胆汁中のコレステロール成分の割合が増えるとコレステロールは溶けずに胆汁のなかで固まりはじめ、そして大きくなることでコレステロール結石ができます。

この胆汁中のコレステロールの割合が増える要因ですが主に脂質異常にともなう血液中の脂肪分の高さ(高脂血症)によるものでまれに糖尿病や妊娠などでも可能性があります。

脂質異常の多くは肥満や食生活が原因ですが、体質によっても異なります。

 

ビリルビン結石

 

ビリルビンは胆汁に含まれる黄色い色素成分です。

その成分は古くなった赤血球で、便の色が茶色いのもこれに由来しています。

ビリルビンは本来、水溶性で胆汁の中に溶けますが、ビリルビンがなんらかの原因で溶けず、胆汁中でビリルビンが固まり
これにカルシウムが結合して大きく成長することでビリルビン結石になります。

胆汁中でビリルビンが固まる要因はさまざまですが胆汁中に細菌が入ったり胆汁の流が悪い(うっ滞)とされています。

これは高齢化による乳頭部の動きの悪化によるものが多いですが胆石や腫瘍による可能性もあります。

 

黒色結石

 

胆汁中のビリルビン濃度が高くなったり、胆汁酸の濃度が低くなるとビリルビンがカルシウムそして金属の元素と結合します。

それが固まり成長すれば黒色結石です。

「黒色」とありますが酸化した金属元素の色はさまざまです。

黒色結石の原因としては、代謝のバランスがくずれた場合や、溶血性貧血や肝硬変、胃切除後などがあります。

 

 

胆石がある場所で症状は違ってくる?

 

 

胆石症は、胆石がある場所で症状や処置が違ってきます。

最も多いのは胆嚢結石で、胆石症の八割を占めます。

胆嚢とは、肝臓で作られた胆汁を食後の消化活動の際、分泌するためにたくわえておく役目があります。

つまり常に胆汁が入っている臓器であるために、どうしても胆汁の流れが止まったり(うっ滞)することもあって胆石が発生する可能性が高いです。

胆石がまだ小さいうちは総胆管に流れるのですが、そうならずに成長することがあります。

そして大きくなった胆石が転がった時に胆嚢の壁を傷つけて炎症を発生させたり、細くなっている胆嚢と総胆管のつなぎ目(頸部)に詰まり、胆嚢内の胆汁をうっ滞させて細菌感染をおこし炎症を発生させたりします。

なお大きさも、砂粒上から卵のようなサイズまでさまざまです。

小さい胆石なら、胆汁の流れにのって胆道系から小腸へ無事に排出されます。

 

総胆管結石

 

総胆管内にある結石が、管内を動く過程で胆管を傷つけ、そこから炎症が発生し痛みがでます。

また、胆石が出口で詰まる(嵌頓)ことで
胆汁の排泄ができなくなり、溜まっていくことがあります。

その結果、細菌が繁殖し腹痛や発熱といった胆道感染症(急性閉塞性化膿性胆管炎)になりさらに血中にまでおよび、肌や白眼が黄色くなったり(黄疸)肝臓をはじめ各臓器に障害がおよんだり、消化管の動きが止まったり(イレウス)することがあります。

こうなると危険な状態で早急に処置が必要です。

 

肝内胆管結石

 

肝臓は胆汁を生産します。

その胆汁は肝臓内に走る胆管(肝内胆管)で集められ総胆管に流れます。

肝内胆管に発生した胆石はまだ小さく、総胆管に流れることが多いのですが
場合によっては肝内胆管に詰まる可能性もあります。

左の肝内胆管に多く、肝内胆管狭窄(狭くなる)をともなうことがあり
胆管炎をおこすことがあります。

 

 

胆石の検査はどのようなもの?

 

 

一番最初におこなうのが超音波でしょう。

超音波による検査は患者にまったく悪影響がないもの(無侵襲)で簡単で時間もかからず、設置してあるクリニックや診療所も多いです。

設置してある場合は、そう希望すれば即検査してくれると思われます。

 

胆石症の検査

 

CT装置がある施設であれば、超音波検査の次に行われるでしょう。

胆嚢や総胆管など胆道のサイズや形態、それぞれと他の臓器との位置関係結石のサイズや性質、胆道系や周辺臓器に炎症があればその状態もわかります。

 

MRCP

 

MRCPとは、MRI(磁気共鳴画像装置)による胆道画像です。

CTでは輪切りの断面画像(冠状断)が普通で上下に走る胆道系を全体的に把握するには不向きです。

昔は、胆道系の検査をする場合は後述するERCPを行っていましたがこれは内視鏡による検査です。

苦痛等を患者に与える影響があり、また術者の技量に左右されることもありました。

MRCPは患者に苦痛を与えることなく(無侵襲)であることから、MRIが設置されている施設ではこれを先に行います。

そして必要があればERCPをおこなうことになるでしょう。

ただし、CTなどに比べると検査時間が長く患者の呼吸の影響を排除できません.

加えて装置の性能の差も加わり、診断が難しい画像になる可能性もあります。

 

ERCP

 

ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)とは、内視鏡を使っておこなわれる検査です。

内視鏡を口から入れ、胃から十二指腸に進めます。

十二指腸にある総胆管からの胆汁を排泄する穴(乳頭部)に細い管(カテーテル)を入れ、造影剤というレントゲン写真で白く写る薬を流しレントゲン写真を撮影します。

この検査は最も鮮明な画像が得られ患者を動かし見たい角度や部分の写真を撮ることも可能です。

そのまま処置(EST)に移ることもできます。

今では、ESTの前後におこなわれる事が多いでしょう。

 

 

胆石症の対応の仕方について

 

 

深夜から朝方、右の肋骨の下あたりが「刺すように痛い」それも「かなり痛い」という状況の場合、病院に行きますと最初に痛み止めで痛みをおさえる処置がおこなわれます。

その後検査が行われますが、エコーやCTで胆石の有無は簡単にわかると思います。

胆石が原因であると判れば、どのような処置をするかは先生の判断と患者との相談で決まるのではないでしょうか。

痛みが出る間隔が短く、辛いからなんとかしてほしいのであれば手術になるでしょうし、様子をみましょうとなれば抗生物質と痛み止めでフォローという処置になります。

胆石を溶かして小さくする内服薬や超音波で割って小さくする(破砕)といった選択肢もあるでしょうが、胆石の成分で適応が違ったり、効果も人それぞれで根本的な治療にならない可能性もあります。

 

胆道閉塞での発症のような重い状態(重篤)の場合は即入院し手術となるでしょう。

手術の場合を説明しますと胆嚢内にある胆石の場合は胆嚢を摘出します。

今は内視鏡でおこなうことがほとんどでしょう。

腹部に数か所の1センチ程の穴を開け、炭酸ガスでお腹(腹腔)を膨らませ専用の内視鏡(腹腔鏡)を入れておこなうもので、2時間ほどで終わります。

現在の医学では難しい手術ではなく、失敗することもほとんどありません。

傷が小さいために回復も早く、通常は一週間だと思われますが、本人が望めば3日ほどで退院できるでしょう。

1日でも退院は可能といわれますが、やはり痛みは残るので無理はしないでください。

 

総胆管にある胆石の場合は、EST(内視鏡的乳頭切開術)をすることになり先に述べたERCPと同様の手順で行われます。

まずERCPを行い胆石と胆道の状態を確認しその後に胆汁の排出口である乳頭部を切り広げることで、胆石や胆汁の排出を促します。

内視鏡の先端から電子メスを出して焼き切りますが、それ自体は痛みなどはありません。

そして切開した乳頭部からバスケットカテーテルを入れて胆石をかき出すこともありますが、いずれにせよ現在ではそれほど大変な処置ではありません。

 

胆石症の処置(手術)後について

 

胆石症になり胆嚢を取ったからといってその後の生活習慣は何も変える必要はないとされています。

ただし脂肪の消化に必要な胆汁の分泌に影響があるかもしれないということで「脂っこい食事はひかえたほうがいい」と医師から言われるかもしれません。

 

 

胆石症を予防するには

 

 

胆石症は、中年を過ぎた頃から増えていき肥満傾向にある人に多いとされています。

なので肥満の原因となる生活習慣や食生活の乱れに気を配るのが良いでしょう。

適度な運動、脂分をひかえた食事などはほかの命に直接かかわる生活習慣病の予防にもつながりますのでぜひ取り組んでください。

 

 

最後に

 

 

胆石について、胆石が原因となる症状や、処置について説明しましたが誰にでも胆石症になる可能性があります。

そして胆石症の症状がないために気が付かないだけで、胆石を持っている方も実際に多いです。

強い腹痛で胆石が発見され、その後の処置は医師との相談で決める場合がほとんどだと思われますが次にひどくなった場合は手術をすすめられると思われます。

ですが難しい手術ではないため、先のことを考えれば元気な時に処置をして安心してしまうのも選択肢の一つにしてもいいのではないでしょうか。

また、少しでも気になれば、今は内科や消化器内科のクリニックではたいていはエコー検査装置を設置しているでしょうから希望すれば嫌がらずに検査してくれるはずです。

すぐ終わる簡単な検査ですので、気軽に声をかけてみてはいかがでしょうか。