病気や事故で足が不自由になり、歩行が困難になった方にとって、車椅子は移動するために必要不可欠なものですね。

外出時などはもちろんのこと、トイレに行くときにも車椅子の存在は欠かせません。

そして介助をおこなう人が一番慎重になり気をつかうのが、車椅子からの移動をお手伝いする時ではないでしょうか?

車椅子からトイレやベッドに移るときというのは、事故が起こりやすいポイントでもあります。

そこで今回の記事では車椅子からトイレへの移動、移乗介助について見ていきたいと思います。

なお、移乗介助はなるべく声掛けをおこなって、できるだけ対象者の方に一緒に力を使ってもらっておこないましょう。

 

車椅子からトイレへの移動手順

 

手すりを活用する場合

<1>
介助者は対象者が手すりを掴みやすい位置まで車椅子を近づけます。

 

<2>
車椅子のブレーキをかけて、トイレ側にあるアームサポートを外し、対象者の足元にあるフットサポートを上げる、または外しましょう。

 

<3>
対象者の足がちゃんと床についているかを確認し、手すりを掴んで立ち上がってもらいます。

この時介助者は、必要に応じて対象者の腰や脇に手をまわし、立ち上がりの補助をします。

 

<4>
立ち上がったら、片手で対象者を支えながら、もう片方の手でズボン、下着を下げましょう。

 

<5>
そして対象者の腰を支えながら、ゆっくりと便座の座る位置へと誘導して深く座ってもらいます。

 

トイレから車椅子への移動は逆の手順でおこなっていきましょう。

 

スライディングボードを活用した場合

<1>
車椅子をトイレに近づけ、位置の調整をします。

 

<2>
位置が決まれば車椅子のブレーキをかけてフットサポートを外します。

 

<3>
腰、脇、太ももなどを必要に応じて支えてあげて、対象者を車椅子の座面前方へと少しづつ引き寄せて移動してもらいます。

 

<4>
引き寄せたらトイレ側にあるアームサポートを外し、対象者にトイレと反対の方向へ傾いてもらい、お尻の下にスライディングボードを差し入れていきます。

この時、スライディングボードは対象者の臀部(お尻)の3分の1ほど差し入れます。

 

<5>
そして対象者には進行方向に手をついてもらって、介助者は脇、腰を持ち支えながらゆっくりと対象者を便座の方向へと滑らせていきます。

 

<6>
対象者が便座の座る予定の位置についたら、スライディングボードを横に動かしながら少しずつ引き抜いていきましょう。

 

<7>
最後に対象者の横に手すりを設置し、手すりに肘や脇をかけてもたれかかってもらい、軽くお尻を浮かしてズボン・下着を下げてもらいます。

この時介助者は、対象者がバランスを崩さないように肩などを持って支えてあげます。

 

そして車椅子へ戻る時は、逆の手順でおこなっていきましょう。

 

片側が麻痺の場合の介助法

<1>
足に麻痺がない側(良い方)に便器がくるように車椅子をつけます。

 

<2>
そして車椅子と便器の距離の調整をするのですが、この時、車椅子と便器が近すぎると対象者に立ってもらった時に対象者の膝が便器に当たってしまうので、ある程度距離をあけましょう。

 

<3>
位置が決まればブレーキをかけてフットサポートを外し(下げ)ます。

 

<4>
介助者は対象者の麻痺している側(悪い方)に立ち、麻痺側の脇と腰を支えて少しずつ座面の前方へとお尻を移動させます。

 

<5>
そのまま脇と腰(腰側のズボン)を持って支え、対象者の立ち上がりを補助します。

 

<6>
立ち上がる事ができたら、そのまま対象者の腰側のズボンを持ち支えながら、もう片方の手で車椅子を後方へ下げます。

 

<7>
そして補助しながら対象者にはゆっくりと回ってもらい、お尻を便器側に向けていきます。

 

<8>
お尻が便器側に向いたら、片手で対象者の上体を支え、もう片方の手でズボン・下着を下ろしましょう。

 

<9>
対象者にお辞儀をするように上体を少し前に倒してもらい、そのまま腰を下ろしていってもらいます。

この時も介助者は必要に応じて脇や腰を支え、便器へと誘導してあげましょう。

 

こちらも車椅子へ戻る際は、逆の手順でおこなっていきます。


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狭いトイレの場合の介助法(手足の力が弱い場合)

<1>
車椅子をトイレと向かい合わせになるようにつけます。

この時、便器と車椅子はピタッとつけずに、少し離します。

 

<2>
車椅子のブレーキをかけ、フットサポート・アームサポートを外します。

 

<3>
介助者は対象者と向き合うように、便座に浅く座ります。

 

<4>
対象者に(左側にあると仮定する)壁の手すりを掴んでもらって、上半身を壁側に向けてもらいます。

 

<5>
介助者は左手で対象者の太ももを抱きかかえ、右手を対象者の腰にまわし、そして右肩を対象者の右脇入れて背負うようにして、徐々に車椅子の座面前方に引き寄せていきます。

 

<6>
十分に引き寄せたら、そのまま背負うようにして対象者を左太ももに乗せましょう。

そして安定しているかを確認して、介助者は対象者を太ももに伸したまま便座に深く座っていきます。

 

<7>
そのまま介助者は右手で対象者を軽く持ち上げてズボン・下着をゆっくり下ろしてあげます。

 

<8>
そして対象者の両足を前に向けながら、介助者は足(股)を開いて対象者をゆっくり便座に下ろして浅く座らせます。

 

<9>
介助者は対象者の後ろから抜け出して、次は車椅子に座って対象者と向かい合わせになりましょう。

 

<10>
そして対象者にはお辞儀をしてもらうように上半身を前に傾けてもらい、介助者は対象者の太ももと背中を持って抱きかかえて便座に深く座らせましょう。

 

車椅子からトイレへ戻る時は逆の手順で戻ります。

 

車椅子でトイレ介助をする際の注意点

 

排泄物の確認はスマートに

対象者の体の異常を発見するために排泄物を確かめることもありますが、そのような時はできるだけ対象者に配慮し、スマートに確認しましょう。

また排泄物の臭いや量などについては触れないようにして、できるだけ楽しい会話などをしながらの介助を心がけしょう。

 

対象者の自尊心を傷つけないようにする

排泄介助は介助する側も精神的、また体力的な負担がかかることは確かでしょう。

様々な介助をする中で、一番のストレスになっているという人もおられると思います。

ですが、それは介助される側も同じです。

やはり介助が必要とはいえ、自分の排泄物を見られ匂われることは、恥ずかしく嫌なものです。

そんな場面で介助者が嫌な表情を見せてしまうと、対象者の心は傷ついてしまったり、申し訳ないという気持ちにさせてしまいますね。

人によってはそのような気持から、「水分をとる・食事をする」という大切なことを我慢する人もいます。

先ほどもお伝えしたように、できるだけ楽しい会話をして、排泄が完了したらできたことを一緒に喜んであげましょう。

 

おわりに

 

いかがでしたでしょうか?

排泄介助は非常に体力を必要とします。

適切なトイレへの移乗介助の方法を知ることで、少しでも介助を楽におこなうことができるかもしれません。

そして転落や転倒といった事故を防ぐことにも繋がるでしょう。

対象者が安全で快適な排泄ができるように心がけてあげたいですね。

以上が車椅子からトイレへの移動に関する記事になります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。