『聲の形』の主人公、石田将也(しょうや)はどこにでもいる平凡な高校3年生。

母親と姉の三人暮らしで、小学生の時に転校してきた聴覚障害をもった少女「西宮硝子」との出会いが物語の始まりとなります。

 

 

石田将也の小学校時代

 

 

水門小で西宮をいじめる将也は、小学生が故の残酷さで度が過ぎてしまい硝子の補聴器を8回も壊してしまいます。

その被害額は100万を越え、謝罪に赴く母親を見て初めて事の大きさに気づきます。

単なる悪ガキだっただけの将也は、このいじめによって友達から孤立。

いじめる側からいじめられる側へと立場が逆転してしまう将也ですが、学校へいじめを訴えても、自身がいじめをしていたことで取り合ってもらえません。

相変わらずクラスでは硝子へのいじめも続く中、硝子は将也へも変わらず明るく振舞いますが、同情されたことに逆ギレし将也と硝子は喧嘩をします。

この喧嘩をきっかけに硝子は普通校からろう学校へと転校してしまいます。

謝るきっかけを失い健気に明るく振舞っていた西宮への後悔と自分のために頭を下げた母親への負い目をトラウマのように抱えて成長していくことになります。

 

 

将也の高校生時代

 

 

高校生になった将也は、進学校に通うもののネガティブで自暴自棄なところがあり、どちらかと言えば卑屈な性格。

成績が優秀でも心からわかりあえる友達もいないままバイトで必死にお金を貯め、母親に硝子の補聴器を小学校の時に弁償させてしまったお金を返済することをひとつの目標としていました。

もうひとつはいじめがきっかけでひどく傷つけたまま転校させてしまった硝子に謝罪した後、自殺することを考えていました。

将也が過去をどれだけ引きずってきていたかがよくわかります。

しかし、いざ硝子と再会した将也は思わず謝罪するためにと習得していた手話で「友達になれるか」と伝えてしまいます。

驚き戸惑いながらもそれを受け入れる硝子に、それ以上に自身に驚く将也は大きく動揺しつつも高揚感を覚えます。

週に一度だけ火曜日に橋の上で会う約束をして自殺を思いとどまる将也は、硝子と手話で懸命に意思の疎通をはかろうと必死になります。

それを知った硝子の妹はもう反発。

将也からの姉へのいじめを恨んでいた妹は不信感をストレートにぶつけられます。

それだけではなく硝子と行動する姿を見かけた小学校の同級生たちからも、将也はいじめていた硝子を相手にすることで自分のしたことを償うふりをしてただ自己満足しているだけだと冷ややかに非難されてしまいます。

それでも小学校時代の友達に会いたいという硝子のために、疎遠になっていた同級生を尋ね歩き再会を果たさせるなど硝子への庇護欲はとても強く、人に対して積極的になっていきます。

1つずつ硝子との関わりを深めるごとに、将也はいつの間にか硝子が大切な存在へと変化しくことに気づきますが、それは許されない感情だと自分を押さえ込んでしまいます。

 

 

将也の成長

 

 

本当は自分でも気づかないにうちに、母親や限られた友人はずっと自分を見守ってきてくれていたことに、硝子との再会で成長したことでやっと気づくことができる将也。

複雑に絡み合う友人らの思いが、今まで後悔しかしてこなかった将也をまたさらに人間的に成長させていきます。

そんな将也の姿に周りも徐々に変わっていきます。

交友関係も増え、人との繋がりを硝子と共に取り戻していきます。

それぞれの思いを秘めながら友情と恋愛の間でどんどんと物語は将也と硝子を中心に回っていき、過去の負い目ではなく純粋な気持ちでようやく向かい合えるようお互いを許し合えるまでになる将也と硝子の初々しい姿がとても新鮮です。

一人の小学生の男の子が面白がって引き起こしたいじめから、高校3年生になり過去の自分と対峙するこの物語は多感な思春期の男の子、将也と硝子の青春を綴っています。